結論から言うと、東京都の中小企業がAI研修を実施する場合、研修費の最大75%+受講中の賃金の一部が戻ります。国の制度に加えて都独自の助成金も使える全国で最も有利な地域ですが、両者は同一研修で併用できないため「どちらを使うか」の選び方がこのページの本題です。
東京都の場合、制度選びの判断基準は実質的に研修時間のみです
AI研修・リスキリングに使える公的支援には「国の人材開発支援助成金」と「自治体独自の制度」の2系統があります。東京都で現在利用できる制度は次のとおりで、検討している研修の形態から最適な制度が決まります。
企業内のDX化に必要な訓練を明文の対象とする国の制度で、10時間以上のOFF-JT研修に対して中小企業は経費の75%(上限30〜50万円/人)と、受講時間中の賃金助成(1人1時間あたり1,000円)が支給されます。生成AIの業務活用研修はDX化訓練の典型例として利用が多く、外部講師を招いた社内集合研修も対象です。訓練開始日の1ヶ月前までに東京労働局へ職業訓練実施計画届と事業展開等実施計画の提出が必要で、令和8年度(2027年3月31日)が最終年度となります。
経費75%+賃金1,000円/時|上限30〜50万円/人・年間1億円/事業所
都内の中小企業等および個人事業主を対象に、DX推進に必要な知識・技能を習得するOFF-JT研修(1研修3時間以上10時間未満)の経費の4分の3を助成する都独自の制度です。対象経費は民間教育機関等の受講料や教科書代などで、サブスクリプション型(定額制)研修や通信添削は対象外です。1人1研修あたり75,000円・1社あたり年間100万円が上限で、上限に達するまで複数回申請できます。研修開始予定日の1ヶ月前までの交付申請が必須で、国の助成金と同一研修での併用はできません。
経費3/4|上限7.5万円/人・年間100万円/社
研修費用そのものではなく、社内のリスキリング環境の整備を支援する事業です。社会保険労務士等の専門家派遣(1社あたり最大2回・無料)を受けたうえで、人材育成計画書の作成や、従業員のスキル習得支援制度・スキル活用支援制度の整備に取り組んだ中小企業に、最大40万円(各取組20万円)の奨励金が支給されます。研修費助成とは対象が異なるため、DXリスキリング助成金や国の制度と組み合わせた活用が可能です(年度ごとの募集回・エントリー期間は財団の公式ページで要確認)。
専門家派遣 最大2回(無料)+奨励金 最大40万円/社
自社で企画した集合研修(双方向オンライン含む・1研修3時間以上10時間未満)に対し、受講者数×研修時間数×800円を定額で助成する制度です。外部講師を招へいして自社会議室で行う生成AI研修のような、オーダーメイドの社内研修に向いています。年間150万円(事業外スキルアップ助成金と合算)が上限です。
定額 800円/時間・人|上限150万円/社・年
| 制度 | 助成率 | 上限 | AI研修適合 | 期限 |
|---|---|---|---|---|
| 国・事業展開等リスキリング支援コース | 75%+賃金 | 30〜50万/人 | ◎ 最適 | ⏳ 締切まで残り261日 |
| 東京都・DXリスキリング助成金 | 3/4 | 7.5万/人・100万/社 | ◎ 最適 | ⏳ 締切まで残り230日 |
| 東京都・事業内スキルアップ助成金 | 定額800円/時・人 | 150万/社 | ○ 有効 | ⏳ 締切まで残り230日 |
| 東京都・リスキリング・キャリアデザイン応援事業 | 奨励金定額+専門家派遣 | 40万/社+派遣2回 | ○ 有効 | 期限なし(恒常) |
| 国・人材育成支援コース(恒常) | 45%〜 | 15〜50万/人 | ○ 有効 | 期限なし(恒常) |
| 国・人への投資促進コース(高度デジタル) | 75% | 30〜50万/人 | △ 限定的 | ⏳ 締切まで残り261日 |
| JEED生産性向上支援訓練 | 受講料制 | 1人数千円 | △ 限定的 | 期限なし(恒常) |
対象要件の確認と、一般的な研修規模での試算モデルです
助成額は「経費助成(研修費用×助成率)」と「賃金助成(受講時間×単価×人数)」の合計で決まります。はじめに以下の3項目で貴社が支給対象となるかをご確認のうえ、試算例をご覧ください。
本日(7月14日)から着手した場合の、入金までの最短スケジュール
この制度で最も重要なのが申請期限です。職業訓練実施計画届は訓練開始日の1ヶ月前まで(6ヶ月前から受付)に東京労働局へ提出する必要があり、期限を過ぎた訓練は助成対象になりません。研修会社との日程調整より先に、申請スケジュールから逆算することをおすすめします。
自社申請も可能ですが、実務上つまずきやすいのは次の3点です
複数の事務所の料金・条件を比較してから決めたい方は 東京都の助成金に強い社労士の選び方(費用相場と一括相談) をご覧ください。